「若い力を貸してくれ」とは何だったのか~フリーランス失敗談~

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フリーランスで動き始めて約1年が経ちますがその中では失敗談もあります。もうほとぼりが冷めた頃なので、二度と同じ罠に引っかからないようその悔しい思い出を特定できない程度に書き残しておきます。

ある日、私は知人の紹介で制作会社I(頭文字ではありません)から映像企画の話をもらいました。それは30秒程度の短尺の作品で、企画コンペ(対抗馬は指で数えられる程度)に通った場合は自分で監督ができるというものでした。予算もその尺にしてはかなり充実しておりメジャーな俳優を使えるレベルでした。

何故そんな話が私に来たかというと、その制作会社Iは社員の年齢層が比較的高く且つ今回挑戦しようとしている企画内容が若者向けのものだったからです。私を紹介してくれた人が私を若者代表として送り出してくれた形です。初めて制作会社へ打ち合わせに行った時も「我々には若い発想が難しいから是非君のような若い人の企画を取り入れそれを売りの一つにしたい」というようなことを言われました。また同時に、仮に企画が通らなかったとしてもうちの会社から企画料を支払う(金額は明示されていませんでした)とも言われました。私はそういうことならば力にもなれるし結果はどうあれいい経験になるだろうと思い話を受けることにしました。

ここまでは良かったのです。

しかし振り返ってみればおかしなこともありました。まだ仕事を受けるかどうかがはっきり決まっていない段階で最初の打ち合わせの時に企画をいくつか持ってくるように言われました。(無理しなくてもいいとは言われましたが締切まで1週間ほどしかない状況だったので実際何も考えずに行く訳にもいかない状況でした)そこで私は簡単なプロットを7つか8つ程書いて持っていきました。打ち合わせの冒頭で簡単な説明を受けた後、私がその仕事を受けることで話がつきましたがギャランティの話はありませんでした。それから社長と社員の計4名に持ち込んだ企画を見てもらいいろいろと意見を頂きました。

昼休憩をとることになり近くの定食屋に入ったのですが、何と彼らはそこで瓶ビールを注文し始めました。私は「仕事中じゃないの!?」という反応を隠しきれなかったですが、映像業界にはいろいろな人がいるのだろうと勝手に解釈しその場をやり過ごしました。気付けば私のグラスにもビールが注がれていました。若干引いてしまいました。

昼休憩の後は会社に戻り打ち合わせを再開しました。夕方あたりにひと段落つき次の予定を決めて解散しました。私は家に帰り打ち合わせの内容を取り入れながら改訂案を2案出しメールで送りました。そして後日次の打ち合わせを迎えます。

この日は私がメールで送った内容のものをさらにブラッシュアップする日だったので私は簡単な絵コンテも持参しました。夕方までには仕上げなければならない日のはずですが、社長及び社員は私の改定案を見て浮かない感じですぐに昼休憩となってしまいました。昼飯を食っている余裕などないはずなので私は「飯入れて大丈夫なのですか?」と確認したところ、腹が減っては戦ができぬみたいなことを告げられ定食屋へと誘われました。すると彼らはまたビールを注文し始めたのです。

そして午後の部の打ち合わせも停滞したまま締切時刻が迫ってきました。ここで異変が起きます。打ち合わせの流れがここにきておかしな方向へと変わっていきました。今まで話していた私発信の企画はやはりダメなのか、社長が1案提案してきたのです。そして社員もそちらを支持するような発言をし始めます。その提案内容がまた酷いものでコンペに出してもどう考えても埋もれるような既視感があるもので且つ面白みや工夫が見えない筋の通っていない企画だったのです。

そして社長が私に突然「君、人の脚本で監督をしたことはあるかね?」と訊ねてきました。私が既に自分で映画を撮っていることは紹介者から伝わっていたようです。私の作品はどちらも自分で脚本を書いているので「ないです」と伝えると、「人の脚本で監督をしてみることも大事だよ」と言って、その社長のつまらない企画を私が監督するよう勧められました。私は驚愕しました。面白い企画ならまだしも社長のふとした思いつきで数分前に出たどうみても魅力が感じられないプロットで監督しろというのです。

私は自分の企画が通れば監督できますという話だったからこの仕事を受けたのであって、そのためにバイトも入れず企画を練ることに時間を費やしました。それを締切直前になって撤回するとは納得がいかなかったので、もし社長の企画で進めるのならば私がここにいる必要はないしその企画を監督することも辞退したいと率直な意見を伝えました。私は自分の名前を出して世に送り出す作品には責任を持たなければならないと思っているので当然です。すると社長は「分かった。では若い人を売りにというのは辞めよう」と一言。

もしかすると私が出した企画がとんでもない企画だったのかもしれませんがそれは彼らに聞いてみないと分かりません。しかし、最初の時点で『若い人の力を』なんて言って連れ出しておいてそれはないでしょうという話です。それならば最後まで筋を通すべきではないでしょうか。この間、打ち合わせ2日分の昼食代は出ましたが往復の交通費2日分と企画料は結局出ずじまいで私は丸3日を無駄にしただけで終わりました。いや必ずしも無駄とは言えないかもしれません。こういう残念な失敗を経験できたということで勉強にはなりました。

あちらにはあちらの言い分があるかもしれませんが、こちらにもこちらの言い分があるぞということです。
以上が私の失敗談です。実はその後もフリーで受けた仕事で痛い思いをすることになるのですが……。

若い時の苦労は買ってでもしろということで仕事を選ばずいろいろと挑戦してきましたが、個人事業主として食いつないでいかなければ破綻してしまうので開業2年目となる5月からは仕事を選ぶことにしました。個人事業としての体制を整えるので今後はこれまでのように学生価格の仕事は受けられなくなりますが、それでもついてきてくださる方とお付き合いしていきたいと考えています。極端な話、電気を停められ家賃を滞納しながら安い仕事を受ける訳にはいかない事情があるのでどうかご理解頂ければ幸いです。そのかわり仕事には自信と誇りと責任を持って臨みたいと思います。

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山下 大裕映画監督・DYCエンターテインメント代表

投稿者プロフィール

1992年6月9日生まれ、25歳。福井県敦賀市出身。敦賀高校普通科→日本映画大学映画学部映画学科脚本演出コース1期卒業生。20歳の冬を迎えた2013年、地元敦賀を舞台にした自主製作映画『SNOWGIRL』(62分)を初監督し、2015年には敦賀映画第2弾と銘打ちオール敦賀ロケで『弥生の虹』(74分)を監督。2017年には敦賀市からの依頼を受け観光ショートムービー『いつか、きらめきたくて。』(全四話)の監督や敦賀市市制80周年記念映像『敦賀市 80年のあゆみ』の構成・撮影・編集を務める。18歳の頃から“2020年までに全国公開作を撮る”と公言し日々奮闘中。現在は本土最南端の鹿児島県南大隅町地域おこし協力隊として映像での地域活性化に力を注いでいる。

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鹿児島県南大隅町地域おこし協力隊
DYCエンターテインメント 代表:山下大裕


1992年6月9日生まれ、25歳。福井県敦賀市出身。
敦賀高校普通科→日本映画大学映画学部1期卒業生。

20歳の冬を迎えた2013年、地元敦賀を舞台にした自主製作映画『SNOWGIRL』(62分)を初監督し、2015年には敦賀映画第2弾と銘打ちオール敦賀ロケで『弥生の虹』(74分)を監督。2017年には敦賀市からの依頼を受け観光ショートムービー『いつか、きらめきたくて。』(全四話)の監督や敦賀市市制80周年記念映像『敦賀市 80年のあゆみ』の構成・撮影・編集を務める。18歳の頃から“2020年までに全国公開作を撮る”と公言し日々奮闘中。現在は本土最南端の鹿児島県南大隅町地域おこし協力隊として映像での地域活性化に力を注いでいる。

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