2011.5.14 ワーナー・マイカル・シネマズ新百合ヶ丘にて
マイケル・マドセン監督「100,000年後の安全」
ワーナーマイカル新百合ヶ丘で5/14から2週間限定の緊急上映が決まった本作。早速見に行ってきました。(若干ネタバレあり)
フィンランドの地下に建設中の放射性廃棄物永久処分場「オンカロ」を取り上げた75分のドキュメンタリー作品。放射性物質の危険さや原発については前半で少し触れていましたが本作は主にその処分場のことがメインで構成されていました。
映画によると放射性廃棄物が生物にとって無害になるまでには最低10万年かかるため「オンカロ」は放射性廃棄物を埋蔵し次第、封印することになっているのだそうです。しかしながら10万年間という長い間封印し続けるというのは容易なことではありません。
「危険」と文字情報で残しても10万年後の人間に今の言語が通じる保証はない。それなら標識で表示すれば良いのではないか。いやちょっと待て、仮に危険だと伝えることができても興味本位で封印を解かれてしまう恐れがある。それならいっそ隠し通してしまって何も残さない方がよいのではないか・・・。こういった感じで議論が続きます。「(処分場の存在を)忘れ去ることを忘れるな」という言葉が印象的です。
そもそも現実的に考えて10万年後に存続しているのかさえも分からない人間にこのようなメッセージを伝えるというのは難し過ぎる課題だと思います。考えてみれば10万年前といったらネアンデルタール人の時代です。果たしてネアンデルタール人のメッセージを今の私たちが受け取ることができるでしょうか?こればっかりはちょっと無謀でしょう。
映画を見ていて気が遠くなりそうでした。10万年なんて想像がつきません。それに「オンカロ」自体も現時点では建設段階で完成は100年後だそうです。その時点で僕もいないし周りもいないという・・・。
予告編では放射性物質が「大きすぎる火」と表現されていますが本当にそうだと思います。今後一切原発事故が起きないで欲しいと強く願いますが、現在稼働中の原発が世界に400基以上もあるという事実はこの望みを打ち砕きかねません。生まれて間もない「大きすぎる火」は私たちの死後も長い間地球に居座り続けます。
100,000年後の安全
2009年 アップリンク
http://www.uplink.co.jp/100000/
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