現在、割引などのない一般的な映画鑑賞料金は1,800円です。
これを高いと捉えるか適正と捉えるか……。
2011年にTOHOシネマズが映画料金値下げの実証実験をしたことはご存じでしょうか?
【参考記事】 「映画料金1500円」中止へ TOHOシネマズの新料金テスト導入、効果見られず
これは、TOHOシネマズが2011年4月1日から行った映画鑑賞料金を1,800円から1,500円(高校生は1,500円から1,000円)にするという実証実験で、当初の予定では1年間試験的に導入する予定でしたが、思うように動員が振るわず客足が他劇場へと遠のいていったため11月で打ち切りになったものです。
ここで注目すべき点は、ただ一般料金を1,500円に値下げしただけではないということです。値下げの実証実験を行うにあたり、これまであったレディースデーやシニア割引、レイトショーなどを廃止しているのです。つまりこの間TOHOシネマズでは、1,000円や1,200円で観られていたサービスデーがなくなり一律1,500円(高校生は1,000円)となっていたのです。
傍から見ている私からすれば、そりゃお客さん減るでしょうと思ってしまいます。
映画をサービスデーにしか観ない層は一定数いると思います。私自身も進んで1,800円の日に観ようとはしません。毎月1日のファーストデーやレディースデーなど、各劇場のサービスデーを駆使し見ることが世間的にも当たり前のようになっています。舞台挨拶と抱き合わせの際に高くなるならまだしも、全く同じ映画を流すにも関わらず観る日によって700円もの差額があるのは結構大きなことです。塵も積もれば何とやら……。
あれから5年経ちますが、以来こうした大規模な実証実験は見受けられません。
個人的には、サービスデーを残したままで一般一律1,500円にした場合、また毎日1,100円にした場合(1ヶ月だけでもいいので)にどれだけお客さんが増えるのかという実証実験をやってみて欲しいです。
こうした試験的な取り組みは今後の映画界のためにももっと積極的に行っていくべきだと思います。
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