私は日頃から”本物に触れる”ことを大切にしているのですが、その一環として今回はカンヌで活躍される河瀨直美監督のトークイベント「マスタークラス 河瀨直美~足元を掘り下げれば世界につながる~」へ行って来ました。
世界を舞台に活躍する日本人映画監督は
どのようにその才能を高めてきたのか?今年のカンヌ国際映画祭で短編部門の審査委員長を務める河瀨直美監督が、なぜ映画を創る人生を歩むようになったのか、どうやってその才能が世界に認められたのか、学生時代の映像や最近の作品などを振り返りながら語ります。また今年のカンヌで得た現地情報もお話いただきます。
という告知文を見て、これはまさに私のためにあるイベントだと確信を持ちすぐさま予約しました。私は割と早い時期に予約したつもりですが当日会場に行ってみると整理番号は80番台でした。会場は想像以上に広かったのですが満席に近い状態だったので同じような思いで来ている人がかなりたくさんいたようです。
今回のトークイベントは「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」と河瀨直美監督がエグゼクティブディレクターを務める「なら国際映画祭」(9月17~22日開催)が共同で立ち上げた日本人映像作家強化養成プロジェクトの一環として行われたそうです。
どんな方なんだろうとそわそわしながら話を聞いていましたが、序盤に河瀨監督が学生時代に撮った初の映像作品を見て失礼ながら「ん?それだけ?」と思ってしまいました。内容は自分が興味を持ったものを淡々とフィックスで撮るという学校からの課題で『私が強く興味を持ったものを大きくフィックスで撮る』という課題名そのままのタイトルがつけられた5分程の作品でした。正直肩すかしを食らいました。犬を撮って「イヌ!」と叫ぶ声が聞こえ、蜘蛛をとって「蜘蛛!」と叫ぶ声が聞こえるのです。これが5分。実のところ私はちょっと引いていました。
しかしその後上映された最近の短編作品はシンプルですが本当に引き込まれる映画でしたし、河瀨監督がおっしゃった「私にとって映画はタイムマシンである」という言葉にはものすごく納得させられました。
つまり例えば私が3年半前に撮った『SNOWGIRL』という作品を観るとそれを撮っていた2013年2月の記憶がよみがえりその時に戻れるということです。確かにあの時の記憶は鮮明にあり実際に戻れるのです。私がもし『SNOWGIRL』を撮っていなければ、私にとって2013年の2月は単なる過去でありその時の細かいディテールを思い起こすことはできなかったと思います。河瀨監督のロマンを感じる一言に私は強く引き込まれました。
カンヌ映画祭で審査員経験を持つ河瀨監督は、今年のカンヌ映画祭でジル・ジャコブ名誉会長に言われた「君たちは一つの部屋と一つの窓を持っていればいい」という言葉に感銘を受けたと話されていました。続けて日本の若手もショート(短編)から世界に行けると熱弁されており私自身とても励みになる有意義なトークイベントでした。
トークイベントの模様は映画.comにも掲載されています。
河瀨直美監督、日本の若手監督&俳優への思いを熱く説く
◆おまけ◆
映画ではありませんが私が4年半前に撮った初の映像作品をYouTubeで公開しています。
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